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10/5 クマにかまれました

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パウダー好きの人に今やすっかり知られた裏ッコル(黒川沢)。滑って楽しいこの見事なブナ林は夏も魅力的です。

しかしこの時季、冬の賑わいとは打って変わってまず人に会う事はない山深い雰囲気。「クマかカモシカしかいないよねー」なんて言いながら歩いていたら、ドンピシャで親子グマと出会ってしまい、絶体絶命のマウントポジションをとられました。

今回は本当に幸運なことに、指を咬まれたところで寸止めでかろうじて助かりました。クマさんのお慈悲としか言いようがありません。

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人通りはほとんどなさそうなワイルドな道です。天狗原の紅葉が始まったと言う話しを聞いて、天気もいいので仕事前に朝練へ。

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大崩落を覗いて登ります。

8時半から動く栂池ゴンドラを待つよりも、朝からこの道を登るほうが速くて運動にもなるし一石二鳥なわけです。

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見渡す限り山また山のワイルドな小谷村。大渚、雨飾、金山、堂津。(一番奥は妙高黒姫)

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山の神ピークを過ぎれば見晴らしもよく、紅葉も始まっていました。

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登山者が少ないので高層湿原には踏み跡も無く、草の上を走るとても気持ちのいい道。

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モンチュラのパンツはお高いだけにゲイターがついていたり立体裁断が動きやすくて、短パン好きな私も秋はコレが気に入っています。

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ほどなく2時間ほどで天狗原に。連休前で仕事が忙しいのでさっさと折り返して来た道を下山。

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紅葉なんてわざわざ見に行かなくてもそのうち下ってくるのにね。

さて、ここから。

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黒川沢に下っていくところで、「クマは出ないけど、どこかで見てるだろうねー」と言いながら、声を出したりしたのですが、、、

河原に出て、靴の泥を落とす為に沢水をバシャバシャ歩いて対岸に渡り石の上をトンットンッと歩いて小薮を回り込んだところで、黒くて丸いのが二つ。「熊だ親子だ」と判断して足が止まるまでに多分1秒かかって数メートルほど薮から出てしまって丸見えの位置。

手前が小熊でピクっとこっちを見たけど、さして気にも留めない様子で呑気にしてる。(これが良くないパターンのようですが…)10メートルくらい離れていて向こうも慌ててないので、こっちも慌てず刺激しないように大声を出さずに「クマ!」と言って逃げてくれるのを待つこと数秒。

これまで5回熊を見た事があって、うち2回は近くでガサガサッと猛ダッシュで逃げる熊を見ているという少ない経験から、今回も向こうから逃げてくれると信じたのですが。。。

小熊の向こう数メートルで川べりの草陰におとなしくしていた親が重低音で唸りはじめ、たぶん小熊さえ逃げてくれれば親熊は飛んで逃げたい様子。小熊に気付いてもらおうと「おっおっ」と言ったのが、逆に狙っているように見えたのかもわかりません、、、

ついに親熊は全身の毛を逆立たせてガッーと吠えて両手を上げて立ちあがり、そのワイルドさに圧倒されつつ、しかしここで尻尾を巻いて逃げてはいけない、というセオリー通り向かい合うこと数秒。

「5m下がれば薮で隠れる、少しずつ遠ざかりたい…」セオリー通り向かい合ったままバックする事、2歩か3歩であっけなく石につまづいて尻もち。

まるで腰が抜けたかのようなこの瞬間をついて、親熊が10数メートルを3歩1秒で飛んで来ました。ゴッーと叫ぶ縦に全開の牙と足が突っ込んでくる状態。

転んだ瞬間に右手は石か木の棒か何か探したけど何も掴めず、次の瞬間には顔に向かって来るクマを左手でブロック。といっても力で止められるわけはなく、突然出てきた手に咬みつき、

目の前50cmで食いちぎるようにアゴを上に突き挙げて、有り得なく変な向きにしなった指と血飛沫を吐き出し身を翻して走り去りました。勢い余ってその手が喉に刺さったような格好になって逃げたのか?そもそも一気に逃げる為にこっちの隙に一咬みだけ攻撃したのか?

後から傷を見たところ、右足スネに熊の左足、右足モモに熊の左手、左手首に熊の右手の爪跡があり、瞬間的に完全にマウントをとられていました。

「次はどうなるんだろ」と諦めかけた瞬間だったので、「クマさんありがとう」としっかり言い、指が一本ちぎれたと感じたので一瞬自分の指を探しグルッと回りを見てから、感覚はないけど一応手に繋がっている事に驚き、

痛みよりもただ野性の凄さに感動し、決死のアタックで子供を守ろうとする母親の姿に「やっぱりクマって優しいんだ」と思ってしまい、親子で斜面を駆けあがる姿を茫然と見送っていました。

これまで、穏やかなクマを何度か見ただけに、クマが向かってくるという事は話しには聞いても実感としてなかったわけですが、、、

野性を舐めたらいけません。ああすればいいこうすればいいと、わかった積もりになってる時点で自然を舐めているんだという事がよくわかりました。

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さて車で病院へ向かったものの、やっぱり厳しくて途中で消防署に駆け込み、救急車のお世話になりました。消防隊員や救急センターのお医者さん看護師さんの頼もしかった事。本当にありがとうございます。

そして、病室ではクマのプーさんがウェルカムしてくれまして…

10日間、点滴三昧でやっと退院する事ができたというわけです。左手薬指の屈筋腱が切れて曲がらない状態ですが、これは腱移植で追々改善できる可能性もあるとの事。

間一髪で山の神様に助けてもらえました。

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昨年の秋に続き、今年も包帯シリーズでしばらくお仕事に励みたいと思います。

何年振りかで故障もなく、来週の大町マラソンは自己ベスト期待してたのに、あえなく撃沈。精一杯応援に回ります。

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ウチの店で売ってる「熊撃退スプレー カウンターアソルト」

職業的に山に入る人が会社の経費で備えるというニーズはあったのですが、趣味で山に入る人には「これはグリズリー用だからヒグマはともかくツキノワグマにはいらないでしょ」という感じで、これまで特にすすめるわけではなかったし、自分でも持ち歩きませんでした。

今回の場合はコレがあれば多分追い払えたはずです。1万円は絶対安い!

熊鈴もあったほうがいいけれど、今回は沢沿いだったので、鈴より笛のほうが効果があったかもしれないと思います。爆竹は畑作業などにはよく使われるようですが、山歩きではどうでしょう。

あと、ザックを振り回したり盾にするというのはやってみる価値はあったと思います。知識として知ってはいたけど、その時は浮かびませんでした。

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これからはこんな感じでトレラン走ろうか…

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ハンドボトルの代わりにスプレー握るか!?

とりあえずは傷口さえ治れば、走ったりスキーもボードもできると思います。泳ぎもリハビリには良さそうだし、サーフィンはどうかなあ、ぶつけても痛くなくなればできるかな。もしケガでもして運動ができない時があれば楽器を習うつもりでいたのですが、逆に指だけ動かないとは…

乾杯はお休みして、リラッくまの絵文字は無いの??

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コメント

松本さんが熊に襲われたとは聞きましたが
まさかマウントポジションとられて指に噛み付かれているとは!
出会って逃走劇くらいだと思ってました。
ご無事で何よりです。
冬までにしっかり治しましょう^^

投稿: まー | 2012/10/17 09:02

そうですねー、リハビリの秋です。

投稿: 楽P | 2012/10/17 18:58

また大変な事になってるな。
十中八九あの世行きの状態でこの結果は、冷静な判断による奇跡と思って、感謝するべきなのか・・・。
いつも楽しく読ませてもらってるブログですが、今回だけはぞっとしました。
大怪我ですが、指の骨とかはどうなん? 完全にもとどうりにはならないやろうけど、日常生活や仕事に支障無い程度にはなるんやろうか?
息子たちも心配してます。
仕事も超多忙な時期になりますが、無理をせずにしっかりと治して下さい。
お大事に。

投稿: 矢内 | 2012/10/17 23:34

電話で元気そうだったので安心しました。
長電話すません^^;アキちゃんによろしく。

投稿: きちなり | 2012/10/18 00:02

ヨダマンから聞いてはいましたが、熊ってやっぱり怖いんですね。指の状態が心配ですが、松本さんパワーで治して下さい。

投稿: たーみねーた | 2012/10/18 00:02

矢内って、あの矢内??

投稿: きちなり | 2012/10/18 00:04

ヤウっちゃんにきっと諭されるから病院で言い訳考えときました「噛まれたけど心を奪われる感動があったで」
ターミネータ氏にも叱られると思ったけど意外にやさしいじゃない。

投稿: 楽P | 2012/10/18 20:16

伝言板に使って申し訳ないですが・・・

きちなり君へ
そう、その矢内です。ご無沙汰。
楽Pと言うよりも、松本家に昨夏お世話になってます。
きちなりの蕎麦打ちの話は聞いてます。
また一度会いましょう。(小田のワインバーなんかどう?)

まっちゃんも四国波乗り道中の途中にどう?
あっ、もちろん完治してからね。

投稿: 矢内 | 2012/10/18 20:18

大事に至らず何よりでした(十分大怪我ではありますが)。これから大忙しの時期でしょうけど、まずはご自愛ください。

自分もわりと熊遭遇してる方ですけど、だんだん慣れて「こんなふうにすれば大丈夫」みたいな気になってしまいますよね。
それでも猛ダッシュで向かってこられた時の恐怖感は忘れられません。音を出して歩くのも気休めと思ってます(実際、一向に逃げてくれませんでしたから)。

やっぱり熊スプレー? 最後の頼みはこれですかね。

投稿: えむとら | 2012/10/18 21:50

小田のワインバーか。。。
行ったことないけどぜひ^^

投稿: きちなり | 2012/10/19 01:11

えむとらさん、モサですねえ!!!
あの野性の美しさは、もしケガ無く会えるならもう一度。
やっぱし熊の着ぐるみですかねえ。ケブラー入りで。

投稿: 楽P | 2012/10/19 21:58

>クマの着ぐるみ(ケブラー入り)

その発想はなかった。。。っつーか、かえって縄張り根性で襲ってきそうでは?

あたくしの場合、6回中3回は存在をアピールしたら向こうが逃げてくれましたが、2回は我関せず、1回はこちらが小屋に逃げ込みました。まあどれも運が良かったということでしょーねー。
ツキノワの黒い毛並みはきれいですね。ヤブの中から出てきた時も、葉っぱ一つ付いていないのは不思議でした。

投稿: えむとら | 2012/10/19 22:52

着ぐるみは縄張りより猟師に注意ですね。

投稿: 楽P | 2012/10/20 21:30

どきどきして読みました。

大事に至らず何よりでしたね。

投稿: 原田 剛 | 2012/10/30 17:10

ありがとうございます。ほんと助かりました。
日本海のシーズンですね。そろそろ傷口もふさがってきてサーフィン出来そうでソワソワしてきました。来週にはサメに気を付けて復帰しようと思います。

投稿: 楽P | 2012/10/30 23:23

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